アルベール・カミュ『結婚』翻訳本(100部限定)のご案内

このたび、フランスの作家で、あの『異邦人』を書いたアルベール・カミュの『結婚』という詩的エッセーを新たに翻訳し、100部だけ本にして、「フランス図書」 から販売しています。
高等学校のときに読んで以来の愛読書で、出会って以来60数年ぶりに訳しました。ぜひ、皆様に読んでいただきたいと切望しております。

関心をお持ちの方は、フランス図書・近藤文智様(E-mail: frbooks★sepia.ocn.ne.jp)までご連絡ください。
(★を@に置き換えてください。)
A4判、83ページ、ナンバー入りです。
頒価:1000円+税です。

以下は、「あとがき」からの抜粋です。

昔から良い作品や文章を読んだとき、感動の証に背筋が震えることがときどきある。その最初の経験が、高等学校のときに読んだアルベール・カミュの『結婚』だった。古文の授業時間に教科書に隠すようにして読んでいて、突然背中がブルッとふるえた。

90ページほどの本には、「ティパサでの結婚」、「ジェミラの風」、「アルジェの夏」、「砂漠」の4篇の詩的エッセーが収録されていて、冒頭の「ティパサでの結婚」の印象はとくに強烈だった。これらのエッセーに共通するのは、アルジェリアをはじめとする地中海地方に特有の大地、輝く太陽、青い空、吹き渡る風、芳香を放つ色とりどりの花・・・・こうした世界の美しさを肌で感じつつ、今この時を生きることへの讃歌である。そしてこのためには、何よりも若さとしなやかな肉体を必要とする。

カミュはのちに書く『シーシュポスの神話』のエピグラフに、古代ギリシアの詩人ピンダロスから、「ああ、わが魂よ、不死の生に憧れてはならぬ、可能なものの領域を汲み尽くせ」という言葉を引用するが、この一行こそ『結婚』の内容を要約している。若かった私が深く感動したのも、こうした生き方に共鳴したからに他ならない。

初めて読んでから凡そ65年、窪田啓作、高畠正明両氏の既訳があるが、あえて自分なりの翻訳をこころみた。テクストは1950年刊行のガリマール版によった。







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